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アメリカのハリケーンは、なぜ女性の名前がついているのか?
今年はハロウィーン目前に、大規模なハリケーン”サンディ”がアメリカの西海岸に上陸しました。西海岸では浸水してしまった地域もあったようです。
NYTimesで流されていたライブTwitterによると、ハリケーンが上陸する前から地下鉄は停止してしまい、タクシーの数も普段より少なかったようです。これにより、自分の家に帰ることもできず、Twitter上では不満の声がいくつか上がっていました。
現在は”リカバリー”期に入ったので、これからダメージ修復には時間がかかるものの、とりあえずは安心できそうです。
さて、今回は、あまりアメリカ人も知らない(?) “アメリカ雑学” で、なぜハリケーンに”女性の名前”がつけられるのか?です。
本当に女性の名前ばかりなの?
最近のアメリカで印象深いハリケーンといえばいくつかありますが、やはりパッと浮かぶのはアメリカ南東部を襲った”カトリーナ”と、今回の”サンディ”ではないでしょうか?
両ハリケーンの名前を見てみると、明らかに女性の名前です。私もカトリーナの時は「ふ〜ん」くらいで見ていたのですが、今回のサンディで「?」と思い、調べてみました。
調べた結果によると、実はこれらのハリケーンの名前は、前もってアルファベット順に(A.B.C.....Z)6組用意されており、これらの名前を繰り返し使っているようです。ちなみに Wikipedia によると、2011年のハリケーン命名リストは (Arlene, Bret, Cindy, Don....)と続いています。
なるほど!確かにアルファベット順に並んでる!!
ということは、ハリケーンの頭文字を見れば、その年のハリケーンの数が分かるということですね。ちなみに、アルファベットが終わると、アルファから始まりオメガで終わる、24文字のギリシャ文字に続くようです。
さらに、リストからも分かるように、女性ばかりと思っていたハリケーンの名前は、実は女性と男性の名前が交互に使われています。たまたま女性の名前の時に被害が大きかったということでしょうか?理由はどうあれ、ハリケーンに女性の名前ばかりが使われることはないということですね。
ハリケーンの命名の始まり?
ハリケーンの命名の始まりについては、ふたつの話を見つけました。
- 第2次世界大戦中に、兵士がふざけてハリケーンを自分の彼女や奥さんの名前で呼び始めたところから来ている。
- ハリケーンはどんどん勢いを増し、全てをなぎ倒していくところから、ヒステリックに怒る女性に似ている!という意味で女性の名前を使い始めたという話。
2の方は、なんとも失礼な話ですね。(笑)
そんなハリケーン命名のおもしろいところが、この名前のリストが、アメリカ合衆国の歴史的な差別問題と、意識改善の兆しをなんとなく象徴しているところです。
というのも、実は1979年以前は、ハリケーンの名前は全て女性の名前だったそうです。ところが、この年を始めに男性の名前も平等に入ってくるようになりました。さて、この年に何が起こったのでしょう?
アメリカでは、この年 (1979年) に女子差別撤廃条約が国際連合総会で採択されたのです。実際にこの条約が発効されたのは1981年だそうですが、採択年にハリケーンの名前まで変えてしまうというあたりが、さすがアメリカ!という感じですね。(参考ウェブ)
さらに、2003年に、テキサス州選出下院議員が、「ハリケーン命名リストがあまりにも白人の名前に偏りすぎている」と指摘し、アフリカ系アメリカ人の名前も含まれるように求めているとか…
アメリカ合衆国での黒人差別問題は重傷で、会社のボス(60歳)が小中学生の頃は、ここオレゴンでは、アフリカ系アメリカ人は住める区域が決まっていたそうです。(もちろん白人とは別の場所です)学校でも差別は当たり前だったとか…
この人種差別は、ごく最近まで当たり前のように行われていたということですね。(ちなみに、この差別はマシになってきているとは言っても、女性差別のように現在進行形なのは間違いありません)
近年になって、やっと差別の意識が少し和らいできたので、もちろんハリケーンの名前も変えなければ…という感じでしょう!(笑)
今回いろいろと調べてみて、私は、ハリケーンの名前が変わってきた年代付近が、「積極的に差別への意識を変えていこう」という時代のように感じました。こういう見方をすると、名前の変化が、なにかとても嬉しいことのように感じました。これからのハリケーンの名前の変化に注目ですね (笑)
というわけで、今回は「アメリカ−ハリケーンの雑学」でした。アメリカ人との会話中に、「ハリケーンってアルファベット順になってるんだよ」などと言ってみてもおもしろいかもしれませんね☆
黒人差別問題に関するリサーチをしていて思い出した映画
"The Help!”
初めて観たときは、アフリカン系アメリカンへの差別に胸が苦しくなる思いと同時に、ひどい歴史を乗り越えてきたアフリカン系アメリカンへの尊敬の念が湧いてきました。1960年代のミシシッピ州を舞台にしたこの映画で描かれている黒人差別は、私のボスによるとかなり正確らしいので、差別問題に興味がある方にはオススメ!
"ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜”
日本語字幕版ヘルプ
アメリカ版ヘルプ
Kindle版 "The Help"
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